ネットの陰謀論に踊らされる大衆をリアルに描いた漫画が話題に

こういうのがウケるわけね。
何でも陰鬱な感じにして、救いのない感じを醸し出せば「深い」漫画になるわけだ

何か違和感があるなと思い、読後少し考えたが、多分その違和感の正体はストーリーのあまりの「まっすぐさ」にある気がする。有り体に言えば、作者があまりにも結末ありきで描いているところが気にかかった。
言い換えるならば、作者が、妹の一連の行動をもって起こり得たかもしれないさまざまな可能性にほとんど目配せをしていないために、「お人形遊び」の域を十分に抜け出せていないように見える。実際のところ、妹の「荒療治」は功を奏するかもしれないし、何もせずとも姉がひとりでに立ち直るかもしれないし、両親が本気になって姉を立ち直らせるかも知れないし、しかるべきセーフティネットに捕捉されて状況が好転するかもしれない。この漫画では、良いもの／悪いものの別なく、そういう「これ以外のありえそうな可能性」がほとんど考慮されないので、どうしても「展開が単線的すぎる」という印象を拭いきれない（同じことは別なところ（例えば教員への「説得」のシーンなど）にも指摘できるが、繰り返しになるので割愛する）。
以上、全体を通じて気にかかったのは、ほとんどの展開が「作者（またはキャラクター）の思い通りにしかなっていない」という点への違和感だった。取り上げるテーマとしては非常に興味深くはあり、全ページを読むことはできたが、一読者の「感想」としては、上述の理由でやや疑問の残る内容だった。

なかなか面白かったぞ