鬼滅の刃に登場する「甘露寺」「不死川」は実在する苗字だった

甘露寺蜜璃の「甘露寺」（かんろじ）は知る人ぞ知る名家の名字である。平安時代に藤原北家勧修寺（かじゅうじ）流の公家藤原為輔が「甘露寺」と号したのが祖で、しばらくは吉田を名字として名乗っていたが、南北朝時代頃から「甘露寺」を正式な家名とした。明治時代には伯爵となるなど、公家の中でもかなり家格の高い家である。

伊黒小芭内の「伊黒」（いぐろ）は全国ランキングで２万位以下という珍しい名字。九州南部、東海、関東、北海道などに点在している。ちなみに「井黒」だと12000位台なので、珍しいがそこそこある、という感じである。

不死川実弥の「不死川」（しなずがわ）は極めて珍しいが実在する。江戸時代、庶民の多くは名字を持っていたが、僧侶はあえて名字を名乗っていなかった。
明治政府はそうした僧侶にも名字を義務づけたことから、僧侶は仏教用語や経典などから自分の名字をつけたため、難読や珍しいものが多い。「不死川」もそうした名字の１つで、大阪府羽曳野市にあるお寺の住職が、近くを流れる東除川が通称・支那津（しなづ）川と呼ばれていたことから、これに漢字をあてたものという。

そしてTVアニメ２期「遊廓編」の中心人物である宇随天元の「宇随」（うずい）。
ちょっとありそうにない感じがするが、この名字は福井県の福井市や永平寺町に実在している。少しだけ漢字の違う「宇隨」という名字も近くにあり、この付近が「うずい」という名字のルーツの地であることをうかがわせる。
調べてみると、福井県坂井市丸岡町に、かつて越前国坂井郡宇随村という地名があった。丸岡城の南側、九頭竜川の自然堤防上にある農村で江戸時代からみられ、現在でも坂井市丸岡町宇随という地名として残っている。ここで生まれたのが「宇随」さんである。

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