アニメ映画『ナタ2』、興行収入1900億円を突破…

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中国で春節中の1月29日に公開されたアニメ映画『ナタ2（哪吒之魔童閙海　Ne Zha ）が2月10日、興行収入で90億元（約1900億円）を突破し、歴代1位という大記録を達成し、社会現象を巻き起こすほどの大ヒットとなっている。

それまでの歴代1位は2021年に公開された映画『長津湖（長津湖の戦い）』だったが、『ナタ2』は公開初日にいきなり4億8600万元（約105億円）という初日のみの興行収入で1位を記録、そのまま連日大ヒットを続け、歴代1位となった。

『ナタ2』は2019年に公開された『ナタ　哪吒之魔童降世』の続編という位置づけ。中国の古典『封神演義』に登場する少年が主人公で、CGを駆使したファンタジーアニメ映画。戦いなどのアクションやコメディなどのシーンもあり、人間同士の絆も描かれている。

子どもだけでなく大人も楽しめる映画で、中国で数年前から流行っている「国潮」（中国の伝統的な要素を取り込んだトレンド）を意識した作品。中国の映画評価サイト「豆瓣（ドウバン）」によると、10点中8.5点という高評価だ。

子どもと一緒に映画を見たという上海在住の男性（45歳）は「とても中国的な要素が散りばめられていて、中国人が大好きな映画だと思う。映像も美しく、中国アニメ制作の質はここまで上がったかと実感させられる。最後のシーンでとくに感動した」と話す。

同映画の監督は1980年、四川省出身の餃子（ぎょうざ）氏。中国メディアの報道によると、餃子氏は以前から餃子とチョコレートが大好きで、自身のスタジオの名称も餃子とチョコレート（巧克力）を組み合わせた「餃克力」と名づけていたが、ひねりすぎていると思い、自身の仕事名は「餃子」にしたという。

もともとは医科大学に進学し、医学の道に進もうとしていたが、幼い頃に日本のアニメ『ドラゴンボール』や『聖闘士星矢』などに憧れて、やはり好きなアニメの道に進もうと決意。卒業後、いったんは広告会社に勤務したが、四川省の実家に戻り、ひとりで黙々とアニメ制作を行っていた。生活に困窮したこともあったが、2008年に作った短編アニメ『打打个西瓜』がベルリン国際短編映画祭で審査員特別賞を受賞した。

このことをきっかけにアニメ映画監督として躍進。中国でいま最も注目を集める若手のアニメ映画監督のひとりとなった。同映画は今月、アメリカ、オーストラリアで公開予定だが、日本公開は未定。

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